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2010年08月22日
成年後見10年―連帯の支え手を広げよう(2010年8月20日朝日新聞社説)
2010年8月20日朝日新聞朝刊社説年をとったり障害があったりで十分な判断力を持たない人を、詐欺などの被害からいかに守り、支えていくか。この課題に取り組むために成年後見制度がスタートして10年が過ぎた。
本人に代わり、財産管理や福祉サービスの選択、施設への入所契約といった法律行為を担うのが後見人だ。裁判所への選任申し立てはほぼ右肩上がりで増え、昨年は2万7千件を超えた。後見人に親族が就くのは6割ほどで、弁護士、司法書士、社会福祉士ら専門職が選ばれる傾向が強まっている。
家計や資産の線引きがあいまいになりがちな親族よりも、第三者のプロを起用することでトラブルを防ぎ、本人の権利を守る。不満を漏らす親族もいるようだが、制度の趣旨と現実を踏まえた理のある運用といえるだろう。
頭が痛いのは、財産は一定程度あるが専門職に月数万円の報酬を払って管理を頼むほどではなく、頼るべき身寄りもないような場合だ。放っておくと制度の網からこぼれ落ちてしまう。そこで注目されるのが、本人と同じ地域に住み、地域のネットワークを生かしながら無償で世話をする「市民後見人」だ。東京都世田谷区や品川区、大阪市などで取り組みが進む。
世田谷区の市民後見人とその候補者はこの秋で62人になる。50時間の研修を経て後見人に選任されると、本人宅の訪問、健康状態の点検、生活費の管理、契約の代行締結などを行う。悩みを抱え込んだり問題を起こしたりしないよう、弁護士や医師、税理士らが支援し、社会福祉協議会が活動全般を監督する仕組みも整っている。
だがこういう先進地を別とすれば、多くの市区町村は及び腰だ。財政が厳しく新規事業に取り組む余裕がない、そこまでの需要はない、素人よりも専門家の活用こそ考えるべきだ――。そんな声が多く聞かれるという。
もちろん地元の事情に応じた対応があっていい。ただ、この先も後見の申し立てが増加するのは間違いない。いったん後見決定が出れば、ほとんどの場合、本人が亡くなるまでその状態が続く。数は雪だるま式に増え、実際、全国でこの制度に基づく支援を受けている人は既に13万人になる。それを理解し、将来にわたって機能する体制を各地で築かねばならない。
保有する資産が多い、親族間の対立が厳しい、といった難しい案件は専門職が、そうでないものは市民が、それぞれ世話をする。本人を取り巻く事情が変われば、後見人も交代する。そんなふうにマンパワーを有効に使うことも大切だろう。
地域の連帯の喪失を感じることの多い現代。であればこそ、社会全体が意識して新しい関係を結び直していく必要がある。市民後見人も可能性を秘めた試みのひとつである。
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投稿者 seinen : 2010年08月22日 09:47